マンションの外壁塗装は定期的なメンテナンスとして欠かせませんが、費用の相場や見積もりの内容がわかりにくく、業者選びに不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、費用の目安や見積もりの内訳、適正価格で依頼するためのポイントまでを、初心者にもわかりやすく解説します。
マンション外壁塗装の費用相場はどれくらい?

マンションの外壁塗装を検討する際、最も気になるのが「結局いくらかかるのか?」という費用面です。ここでは、施工面積や建物規模に応じた相場感と、戸建てとの違いを踏まえた注意点を紹介します。
施工面積ごとの費用目安
外壁塗装の費用は、基本的に「塗装する面積 × 平米単価」で算出されます。以下は一般的な規模のマンションにおける費用目安です。
- 小規模マンション(10戸程度)
→ 約300万〜500万円 - 中規模マンション(40~50戸程度)
→ 約500万〜1,200万円 - 大規模マンション(200戸~)
→ 約1,500万円〜2,500万円
面積が増えるほど単価はやや下がる傾向にありますが、足場や人件費の割合が高くなるため、一概に安くなるとは限りません。
※注釈:塗装のみでなく、足場、洗浄、防水など必要応じて見積もり額は変動します。詳しくは必ず、プロに確認しましょう。
平米単価の相場と注意点
塗装工事における平米単価の目安は以下のとおりです。
- 一般的なシリコン塗料:6,000〜8,000円/㎡
- 高耐久のフッ素塗料:9,000〜15,000円/㎡
ただし、この単価には以下の要素が含まれているかを確認することが重要です。
- 足場代
- 高圧洗浄
- 下地補修
- 養生や清掃費用
業者によっては、単価が安く見えても「別途費用」扱いが多く、結果的に割高になるケースもあります。
戸建てとの違いは?
戸建て住宅との大きな違いは、「共用部の多さ」「足場の高さ」「理事会による意思決定」が必要という点です。
- 共用廊下・階段・エントランスなどの塗装範囲が広い
- 高層階になるほど足場設置のコストが上がる
- 管理組合や理事会での合意形成が必要で、即時着手が難しい
したがって、マンションの外壁塗装は戸建て以上に「準備」と「情報共有」が重要となります。
見積もりの内訳と金額の根拠を理解しよう

見積もりを見ても「この金額が高いのか安いのか分からない」と感じる方は少なくありません。外壁塗装の費用は複数の項目で構成されており、それぞれに妥当性があります。
ここでは見積書の主な内訳と注意点を解説します。
足場・洗浄・下地処理など基本構成
外壁塗装工事は、単に塗るだけでなく、その前後に多くの工程が含まれています。基本的な構成は以下の通りです。
- 仮設足場設置費(安全性・作業効率向上のため必須)
- 高圧洗浄費(古い塗膜・汚れを除去し、塗料の密着性向上)
- 下地補修費(ヒビ割れや欠損部分の補修)
- 養生作業費(窓や床など塗らない部分の保護)
この部分が全体の30〜40%を占めることもあり、軽視できません。
塗料代と施工費のバランス
次に大きな割合を占めるのが、塗料費用と人件費(施工費)です。
- 塗料代はグレード(シリコン/フッ素/無機など)と使用量で変動
- 施工費は作業人数 × 工期(日数)により決まる
仮に耐久性の高いフッ素塗料を選ぶと、初期費用は上がりますが再塗装までの期間が延びるため、長期的にはコスパが良いこともあります。
「安く済ませたいから塗料は安価なもので…」と選ぶと、結局10年以内に再塗装が必要になりトータルでは高くつく場合もあるため注意が必要です。
諸経費や追加費用には要注意
見積書の最後に「諸経費」として一括で記載されている項目がありますが、ここに含まれる内容は業者ごとに差があります。代表的なものとしては以下が挙げられます。
- 現場管理費(監督者の人件費)
- 運搬費や廃材処分費
- 保険料や許可申請にかかる費用
さらに、現地調査後に判明する追加費用(例:想定以上の下地劣化など)が発生する可能性もあるため、見積もり取得時には必ず「追加料金の有無・条件」も確認しておくと安心です。
費用が変動する5つの要素
マンションの外壁塗装費用は一律ではなく、さまざまな条件で変動します。「なぜ見積もりに差が出るのか?」を理解することで、納得のいく判断がしやすくなります。
塗料の種類とグレード
塗料の選定は、費用に大きく影響します。主に以下の種類があり、耐用年数や機能によって価格が異なります。
- アクリル系:安価だが耐久性は低い(目安:5〜8年)
- シリコン系:コストと性能のバランスが良く人気(10〜15年)
- フッ素系:高価だが耐久性は抜群(15〜20年)
- 無機系:さらに高耐久で20年以上持つものも
長く持つ塗料を選ぶことで、将来的な再塗装コストを抑えられます。
劣化状況と補修の有無
外壁の状態が悪ければ、その分補修工事が必要になり、費用がかさみます。代表的な劣化症状には以下があります。
- クラック(ひび割れ)
- チョーキング(粉吹き)
- 塗膜の剥がれ
- コーキングの劣化
劣化が進んでいるほど補修工程が増え、予定より費用が高くなるケースもあるため、事前診断が重要です。
建物規模・階数
当然ながら、建物が大きくなるほど工事費用も上がりますが、それ以上に影響するのが階数です。
- 高層マンションほど足場設置が大がかり
- 作業員の安全確保や移動時間も考慮される
階数が多いマンションでは、足場や安全対策の費用が大幅に上乗せされることもあります。
立地・周辺環境による影響
立地条件によっても施工コストは変わります。以下のようなケースでは、追加費用が発生することがあります。
- 前面道路が狭く資材搬入が困難
- 隣接物件との距離が近く足場が組みにくい
- 駐車スペースがない
現場環境が工事のしやすさに直結するため、同じ規模でも費用に差が出ます。
施工時期や繁忙期の影響
塗装業界には繁忙期があり、春や秋は需要が高まります。この時期は予約が取りづらく、割高になることもあります。
- 春(3〜5月)・秋(9〜11月)は繁忙期
- 夏や冬は閑散期だが、天候リスクあり
スケジュールに余裕があるなら、閑散期を狙うことで費用を抑えられる可能性もあります。
業者選びで失敗しないための4つのコツ
外壁塗装の費用は業者によって大きく変わるため、どこに依頼するかは非常に重要です。「安ければよい」「有名だから安心」といった基準では、思わぬトラブルを招くこともあります。ここでは業者選びのポイントを紹介します。
相見積もりの取り方と比較ポイント
1社だけの見積もりでは判断が難しいため、最低でも2〜3社から相見積もりを取るのが基本です。比較時のポイントは以下のとおりです。
- 各項目が細かく明示されているか(内訳の透明性)
- 塗料の種類と面積が明記されているか
- 保証内容や施工スケジュールに違いがないか
費用だけでなく、「何にどれだけ費用がかかるのか」をしっかり見極めましょう。
塗装専門業者とリフォーム会社の違い
外壁塗装を請け負うのは塗装専門業者だけでなく、リフォーム会社や管理会社などもあります。ただし、それぞれの得意分野やコスト構造には違いがあります。
- 塗装専門業者:施工力と技術が高く、中間マージンが発生しにくい
- リフォーム会社:提案力は高いが、実際の施工は外注になることが多い
費用と品質のバランスを重視するなら、直接施工を行う専門業者が安心です。
実績・口コミ・資格のチェック
信頼できる業者かどうかを判断するために、以下の点をチェックしましょう。
- 過去の施工実績(マンション事例があるか)
- Googleやポータルサイトでの口コミ評価
- 一級塗装技能士などの有資格者がいるか
- 見積もり〜施工まで自社対応かどうか
資格や実績は「職人の腕」と「信頼性」の証明になるため、重視すべきポイントです。
アフター保証・定期点検も重視しよう
工事が終わった後も、安心して過ごせる体制が整っているかは重要です。
- 5年〜10年の保証が付くかどうか
- 不具合時の対応窓口が明記されているか
- 定期点検の有無
保証や点検の制度がある業者ほど、仕事に自信を持っていると言えます。
管理組合が知っておくべき工事の流れ
マンションの外壁塗装は、単なる工事ではなく、管理組合としての意思決定と段取りが欠かせません。ここでは、計画から工事完了までの全体像を紹介します。
改修計画と外壁塗装のタイミング
外壁塗装は通常、12〜15年ごとに実施されるのが一般的です。管理組合では長期修繕計画の中にあらかじめ予算と時期を組み込んでおく必要があります。
- 直前の準備では業者手配が間に合わないことも
- 建物診断の結果をもとに塗装時期を前倒しするケースもある
- 一部の自治体では補助金制度があるため、時期により活用可能
適切なタイミングで実施することで、資産価値の維持と修繕コストの最適化が図れます。
理事会での合意形成と議事進行
工事の実施には、理事会および総会での承認が必要です。住民全体に関わる工事のため、以下のようなステップを踏んで進めます。

十分な情報共有と合意形成を行うことで、住民トラブルを未然に防ぐことができます。
工事前〜完了までの主な工程
実際の工事はおおよそ1〜2ヶ月程度で完了します。主な流れは以下のとおりです。

住民の生活に影響するため、騒音・臭い・立ち入り制限などの配慮が求められます。そのため、事前に説明会を開き、周知徹底しておくと安心です。
よくある失敗とその回避策
外壁塗装工事では、計画不足や知識不足によるトラブルが意外と多く報告されています。ここでは、実際によくある失敗例と、それを避けるためのポイントを紹介します。
安さ優先で業者を選んでしまった
費用を抑えたい気持ちは当然ですが、価格だけで業者を決めるのは危険です。
- 内訳が不透明で後から追加費用が発生
- 安価な塗料で仕上がりや耐久性に難あり
- 経験不足の下請け職人による施工
「相場より安い=お得」とは限りません。見積もり内容の明確さや保証の有無まで含めて足場代を総合的に判断することが大切です。
見積書の読み違いによる追加費用
「思っていたより高かった」「これは見積もりに含まれていないの?」といったトラブルも多いです。特に注意したいのは次のような項目です。
- 下地補修の範囲
- 養生や清掃などの雑費
- 消費税や管理費の別記
このような“別途費用”に見落としがあると、予算オーバーの原因になります。事前に不明点を確認し、納得して契約することが重要です。
塗料選びの誤解と塗り直し
「とりあえず中間グレードで大丈夫だろう」と安易に塗料を選ぶと、以下のように、建物の立地や使用環境に合わず、劣化が早まるリスクがあります。
- 日当たりが強い場所では遮熱性のある塗料を選ぶべき
- 海沿いや工場地帯は耐塩害・耐薬品性のある塗料が必要
塗料の選定は施工業者にしっかり相談し、環境に適したものを選びましょう。
外壁塗装費用を抑える3つの工夫
マンションの外壁塗装は大きな出費になるため、少しでもコストを抑えたいと考える方は多いでしょう。ただし、安さだけを追求すると後悔する結果にもなりかねません。
ここでは、品質を落とさずに費用を抑える現実的な方法を紹介します。
外壁と屋根を同時に施工する
外壁と屋根の工事を分けて行うと、それぞれに足場費用がかかります。これをまとめて実施することで、足場代を1回分で済ませることができるため、全体のコストを抑えることが可能です。
- 足場設置費は全体の20〜30%を占める
- 屋根塗装と外壁塗装の工期が重なれば、人件費も圧縮できる
- 同時施工は建物全体の美観を保つ効果もある
「まだ屋根は早いかも?」と思っても、同時に見積もりだけ取ってみる価値はあります。
助成金・補助金の活用
一部の自治体では、マンションの省エネ改修や長寿命化対策として、外壁塗装を対象とした助成制度を設けていることがあります。
- 条件:遮熱塗料の使用、築年数、住民合意など
- 支援内容:費用の10〜30%補助など
- 応募期間が限定されていることも多い
事前に自治体の公式サイトを確認し、必要であれば施工業者に相談して手続きをサポートしてもらうとスムーズです。
長期視点でコスパの良い塗料を選ぶ
初期費用を安く済ませるために安価な塗料を選ぶと、塗り替えサイクルが短くなり、結果的にコスト増となる場合があります。
以下のように、長寿命塗料の選定も費用対策になります。
- シリコン塗料:10〜15年の耐久性でコスパ◎
- フッ素塗料:高価だが15年前後の耐用年数
- 無機塗料:20年近く持つが高額。長期保有予定向き
短期ではなく「10年・20年先を見据えた費用設計」が、結果として最も経済的です。
まとめ:外壁塗装は計画と判断が成功のカギ
マンションの外壁塗装は、ただ建物をきれいにするだけでなく、資産価値を守り、住民の安全と快適さを保つために欠かせない工事です。
この記事では、以下のポイントを中心に解説してきました。
- 費用相場は面積や条件で変動し、目安は数百万円〜数千万円規模になる
- 見積もりの内訳や塗料の種類には明確な根拠がある
- 相場だけで判断せず、信頼できる業者選びが重要
- 管理組合としての合意形成や工事の進行にも配慮が必要
- 助成金活用や同時施工など、費用を抑える工夫も可能
外壁塗装は一度の判断で10年先まで影響する大きな選択です。「なんとなく」ではなく、しっかり知識を持って比較・検討することが、納得のいく工事と費用につながります。
まずは、信頼できる業者から診断と見積もりを受けることから始めてみましょう。「費用が妥当か?」「施工内容は適切か?」など、わからないことは遠慮なく専門家に相談するのが成功の第一歩です。
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